インタビュー
Q:鍼灸に興味をもったきっかけを教えてください
A:中国に留学していた際に別の大学・北京中医薬大学の学生さんにたまたま出会い、ニーハオの挨拶の前に両手首の脈をとられ、「おまえ、昨晩飲み過ぎて吐いただろ?」と言い当てられてしまったこと……
「留学生なんだから、飲み歩いていないで、もっと勉強をがんばれ、今度オレがおまえにハリをしてやるから」
Q:どんな患者様がお越しになりますか?
A:地元のさいたま市を中心に、県内、都内、神奈川や千葉、栃木等からもお越しになります。症状はいろいろです。小児疾患の方から難病の方までいらっしゃいます。大手の斡旋サイトには登録していないので、口コミがほとんどで、最初ライトな患者さんがお見えになって、ヘビーめの症状のご家族やお知り合い等をご紹介いただく傾向にあります。
Q:開業までの準備期間と開業してみてご感想
A:どこかの治療院に従業員として勤めるイメージが一度も持てていなかったので、消去法的に開業のイメージは漠然と入学前から持ち続けていたのだと思います。開業前は治療法のことと治療院のホームページのことばかり考えていた気がします。法規的なことは行き当たりばったりで、その都度さいたま市の保健所の方にたいへんお世話になってしまいました。他のみなさんもそうかもしれませんが、実際開業してみても、ずっと開業準備中のような気持ちでおります。
患者さんが多くお見えになっても、開業準備中のような気持ちでこの五年目も治療にあたっています。
どうやらそういう気持ちで治療にあたるのは悪くないみたいです。
「開いているのか分からないくらいなのが、この治療院の良い所ね、ガツガツしていなくて」と
おっしゃってくれる患者さんがいます。
入学前~学生時代
Q:入学前は、どのようなお仕事をされてましたか。
A:文筆関係の仕事をしていました。
Q:学生生活はいかがでしたか?
A:上記の仕事を在学中もしていて、忙しい時期も多かったので、出席日数を計算しながらの学生生活ではありました。学校にとっては模範的な学生ではなかったかもしれませんので、このようにホームページにご紹介いただけることに引け目もなくはないのですが、きっと私のような在学生もいると思い、何かの参考やサンプルになればと、今回お引き受けいたしました。
肝心の学生生活の中身そのものは、先生方やクラスメートの皆さんのおかげもあり、とても楽しかったのですが、あの頃に戻りたいという程ではないです。セルフケア・自己治療の方法を早く教えてほしいくらい体力的にも大変でした。
Q:クラスメートはどんな皆さんでした?
A:「やさしく・まじめで・あかるい」という、
3拍子でテンポよくおさまるようなメリハリのきいた皆さんでした。3年間ありがとうございます!
Q:東鍼校で学んでよかったこと等
A:古典鍼灸のイメージが強い学校のようですが、実際は現代・西洋的な鍼灸にも触れられる機会がたくさんあった気がします。もちろん古典鍼灸の各流派にも広く触れられ(DVDもじゃんじゃん貸していただけましたし)、学校の授業でいっぱい一杯だったはずなのに、いつのまにか二年次からは学会の方にも入会して休日も実技を深めていたくらい、学外ないしは卒業後の未来への扉が国家試験受験前から開放されていた実感があります。開業を念頭においている方にはとくに良い学校かもしれません。
Q:今後の夢や目標など
A:症状の緩解・治癒の先に、その患者さんのイマジネーションの回復や向上もつねに見据えておきたいです。治療家がかかわることができるのは、結局その患者さんのごく一部の時間だけですし、無理なく通い続けてもらえるように月1回程度で維持できる鍼灸を心掛けている方針もありますが、自身の体にたいするイマジネーションも豊かにしていただきたい。
せんねん灸やパイオネックスを渡すのではなく、みずから想像・創造できるような心身になってもらいたい意味合いを込めまして、写真のような企画も院内にて先般催しました。なかなか見ることのないご自身の背中を目の当たりにしてもらって、紙やキャンバス等と見立て、好きな表現をしていただくものです
▽詳しくはコチラもご覧ください。
今後もなにか企画していきたいですし、私自身もイマジネーション豊かな患者さんとかかわり続けていきたいです。
Q:入学検討中の皆さんへ
A:本校への入学を検討されるより前に、鍼灸を学ぶことを検討されていることに、まずは大きな敬意をおぼえます。鍼灸はすばらしい医学だと日々開院時間外も感じていますが、同時に仕事としてやっていくにはなかなか大変な業界・世界だともまわりの院等も見回してみて感じています。自院が繁盛するために〝気〟やエネルギーを消耗してまで宣伝して回るのも、鍼灸医学の本質・本筋からは逸れるような気がしている中で、もしそれでもみなさんが鍼灸を学んでみたいとお考え続けられるようでしたら、本校は最適だと思います。本校しか在学したことがない事情もありますが、
いろいろな学校の出身の方と話していても、古典・伝統をベースにここまで、古今東西の鍼灸に触れられる学校はなかなかないように実感しています。
これだけ流派が国内外問わず散らばっているということは、万人にたいする決定‶打〟がない状況とも言え、患者さんの体の数だけ、治療家の体の数もある。たくさんの先生や学会や学校のお世話になりながらも、結局は自分自身一体で一筋の流派を築いていく以外に道はないようにますます感じておりますので、学生生活3年間のうちは、なるべく広く触れておくのがいいのではないでしょうか。
学校の立地している大久保界隈には、和洋中のみならず、韓国・タイ・ベトナム・インド・ネパール・トルコなどなど古今東西のお店もたくさん集まっています。いろいろな物をとり入れるには又とない場所ではありますが、やはり「お酒はほどほどに!」吐き出すのは卒業後でも遅くはないかと。
治療院紹介
治療院名:さいたまのハリとお灸 豊泉堂
所在地:埼玉県さいたま市浦和区常盤9-9-6
営業時間:平日9:00~11:00・15:00~18:00(最終受付)
土曜9:00〜11:00・14:00~16:00(最終受付)
休診日:木曜・日曜・祝日
アクセス:JR北浦和駅・徒歩6分
著書:『本を気持ちよく読めるからだになるための本』(晶文社)