活躍する卒業生

虫明 花野子

虫明 花野子

鍼灸かぐら院長/開業 鍼灸あん摩マッサージ指圧科

インタビュー

Q:そもそも鍼灸に興味をもったきっかけは?

2011年の東日本大震災がきっかけです。全てが流れ去り、まるで縄文時代と同じようにまっさらになった被災地の映像を観て、こういう場所で今の自分に何ができるだろう…と、それまでの自分の生き方を変える必要性を感じました。

 その時強く思ったのは「地球にとってなるべく無害な人間になりたい」ということと、「縄文時代にタイムトリップしても身ひとつで人の役に立てるような技術を身につけたい」ということです。そうしたらおのずと鍼灸師という選択肢が浮かび上がり、ワクワクしたのを覚えています。

Q:どんな患者様がお越しになりますか?治療院の特徴などは?

10代から90代まで、老若男女問わずお越しくださいます。どんな症状の方がお見えになるかはまったく予期できず、いまだに初めて耳にする病名や症状もあったりするため、その都度いろいろ調べて勉強です。

 私の師匠は、「全て患者さんが教えてくれる」とよく言っていたのですが、治療を沢山積み重ねることで、やっと少しずつわかっていくことがあります。今までお越しくださった患者さまのお陰で身に着いた知識や技術を、また患者さまにお返ししていく。まるで治療院自体がひとつの生物で、患者さまたちの力で他の患者さまを治しているような、ポジティブなうねりを生んでもらっているように感じます

Q:開業までの準備期間と開業後の感想をお聞かせください。

学校を卒業したら、早い時期に自分の治療院を持つことを目標としていたので、1年生の時から学校と平行して竹村文近先生のところに弟子入りをして勉強させていただき、学校を卒業して2年目の夏に開業しました。

 開業してみて感じたのは、たとえ拙くても未熟でも、全て自分の責任で場を整えて行う治療は、強度を生むということです。鍼灸治療は、自分が作り出す空間や心のイメージと鍼を打つという行為が混然一体となってなされるものなので、その全てをブレずに一体化させることが力になり、密度の濃い治療に繋がっていくののだなと実感するようになりました。

 自分のしたことが全て治療院の現実に反映されることも、すっきりシンプルでとても清々しいです。

 

入学前~学生時代

Q:入学前は、どのようなお仕事をされてましたか。
A:映画の雑誌編集の仕事に就いていました。1日中パソコンの前に座って脳味噌をクルクル働かせていると、その反動で運動したくてたまらなくなり、夜な夜なジョギングをしたり、休日はキャンプや登山に行ってバランスを取っていました。

今思うと、身体性を伴わないことを生業としていた自分に、本質をおろそかにしているような心もとなさを感じていたように思います。

Q:学生生活はいかがでしたか?
A:久しぶりの学生生活がとにかく楽しく、まわりのクラスメートも楽しそうだった思い出だけしかありません。学校が、国家試験に受かるためだけではない、後々の財産になるような学びを得ることができる環境を整えてくれていたので、全エネルギーを注いで没頭することができました。

 例えば、授業後に実技室を開放して先生を常在してくれており、何時間でも練習ができる。国家試験前数カ月は個別指導の補講を設けて下さる。大ベテランの先生の治療院や、西洋医学の病院のリハビリ科の見学の機会を設けて下さる等々。

 先生方が相当にご自分のお時間も割いて、手厚く応援してくださったことに今更ながら感謝しています。


Q:クラスメートはどんな皆さんでした?
A:みんな根本的に人に興味があり、面倒見の良い優しい人が多かったです。実技のクラスでは互いを練習台にするため身体に触れる機会も多いので、あっという間に仲良くなり毎日みんなで大笑いしていた記憶があります。

卒業した後も、定期的に勉強会を開いて練習したり、お互いに治療をしたり、一生の付き合いになる本当にありがたい仲間ができました。クラスメート、先生ともに東鍼ではとにかく人に恵まれました。

Q:東鍼で学んでよかったことは?
A:地に足のついた伝統的な鍼灸治療を教えてくださる先生や環境が整っていて、幅広い治療法を学ぶことができたことです。膨大な臨床経験を積んでおられる先生方の治療は絶対に生で見た方が良いですし、授業中になんの気なしにおっしゃることも、メモしておいて良かったと後々思いました。
学生の時はピンと来なかったことも、「あの先生、こんなことおっしゃっていたな」「こんな治療されていたな」などとふと蘇ることがあり、時空を超えて治療を助けてもらえています。

Q:今後の夢や目標などを教えてください

自然豊かな場所で、自分の思い描いている桃源郷のような治療の場を設けることです。健康というのは、「毎日だいたい上機嫌でいられる」ことだと思っています。そのためには身体がのびのびと幸せを感じる場に身を置くことが、結局のところ1番だと思うようになりました。

 自然、治療、音楽、美術、そういうものが一緒に存在する場を、今まで出会ってきた人たちと作れたらという妄想を、具体的に行動して実現していくのが今年から来年にかけての目標です。

Q:入学検討中の皆さんへ

私が入学した頃から世の中は大きく変わり、コロナやワクチンの後遺症、デジタルの急速な発展など、ふつうに生きている毎日の環境自体が健康を脅かすような世の中になりました。

 世の中を変えることは難しいですが、鍼灸治療によって沢山の方の健康の底上げをしていくことはできます。鍼灸は、個人や社会が明るく健やかな方向へ向かっていくための叡智が詰まった、先人が繋いできてくれたバトンでもあり、私たちもみんなでまた大切に繋いでいけたらと思います。

 

治療院名:鍼灸かぐら

所在地:東京都杉並区阿佐ヶ谷南1-36-30

連絡先:03-3313-5989

営業時間:9:00~19:00

休診日:火曜日・第2&4水曜日・木曜日

治療院HP

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